FILE 189 ・2019年度 高得点作品からわかること

立体

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○17年度 工芸科合格 244/250 現役生

解説

立体表現という空間を扱う芸術表現においては、作られた形と周囲の空間の美しさが非常に重要なポイントとなります。17年度入試のテーマであった「2つの円柱の関係」をしっかりとイメージした上で作られた、この作品の「直線を組み合わせることによって構造的な美しさを求めた造形美」は、問題の意図を的確に酌みとって魅力的な作品制作ができていると判断されたのでしょう。

○16年度 美術科合格 190/250 現役生

解説

16年度入試では、人形からの視点を深く想像し、それを考慮する必要がありました。したがって、この作品の「視線の先に広がる迷宮のような空間」は、今回の問題の意図を的確に酌みとって制作できていると判断されたのでしょう。

○15年度 美術科合格 240/250 現役生(NETコース)

解説

大きさ、形(三辺の比率)、材料(スチレンボードによる面材と、線材、糸による線材)の異なる様々な「三角形」のパーツによって、空間が構成されています。各パーツとその隙間の空間が『傾いた台座』の上に的確に配置され緊張感を生んでいます。

○14年度 美術科合格 250/250 高卒生

解説

多数のカードを連続させて帯状の立体を構成し、それを旋回させることで「同じ立体の一部は包むものであり、一部は包まれるものでもある」という凝った構成が魅力的です。個々のカードに同じ加工を施すことで力強い秩序を実現している点も評価できます。

○13年度 工芸科合格 250/250 高卒生

解説

モチーフの「ピーマン」のフォルムと、材料の「片面ダンボール」の性質を生かし、ユニークで魅力的な立体を造形しています。同時にニットの帽子のようなイメージも持っており、今回の課題テーマに対する理想的な解答例だといえるでしょう。

○12年度 美術科合格 250/250 高卒生

解説

今回のアスクの立体高得点作品の中では、唯一、積極的な構成がなされた作品です。作者も、『そこで差を出したい』と考えていたようですが、あくまでも、「摸刻としての精度を持った上での構成」として、評価されたのだと思います。

○11年度 美術科合格 250/250 高卒生

解説

3種の材料の適切な組み合わせにより、与えられた空間を最大限に活かしながら、魅力的な「穴の開いた立体」が構成されています。テーマ、材料、空間条件など、与えられた課題に対する一つの完璧な解答例といえるでしょう。
※テーマ:「穴のある立体」

○10年度 工芸科合格 224/250 高卒生

解説

ストロー2種(太、細)と、2種に加工したケント紙(通常のケント紙、もみ紙)を組み合わせてつくった複数のパーツを、緩やかに関係づけながら一つの立体として構成しています。構成された鋭角的な形態と、ストローによる線が、輝く光のイメージを表現しています。
※テーマ:「かがやき」

○09年度 デザイン科合格 226/250 現役生(彦根)

解説

近い形の三つのパーツによる構成です。それぞれ、接地部分を点として上部を膨らませた、おおよそ三角錐的な形態を持つパーツですが、フォルムと用いた材料に少しずつ変化が与えられており、全体としては上昇感を持ちながらも、視点を変えると微妙に表情を変化させる作品となっています。
※テーマ:「上昇気流」

○08年度 美術科合格 250/250 高卒生

解説

レンガと相似形の立体が二つに割れた状態のパーツに、レンガが挟まっています。「レンガを支える軽快なかたち」が求められたテーマですが、この立体はレンガを支えながら、同時にレンガによって支えられているという設定になっています。造形的には極めてシンプルな形態なのですが、コンセプトの面白さが高く評価されたものと思われます。
※テーマ:「レンガを支える軽快なかたち」

○07年度 美術科合格 242/250 高卒生

解説

紙コップの形と、竹ヒゴと糸の素材性を生かした造形です。個々の材料の形や材質から全体の形が導き出されているため、これだけの種類の材料を使っているにもかかわらず、自然と一つの作品になっているように見えます。材料の加工精度がかなり高いという点も、評価の高さにつながっているといえるでしょう。テーマの「躍動」がもっと表現されていれば、満点までいったかもしれません。
※テーマ:「躍動」

次回予告

今回の京芸ファイルをお読みいただき、誠にありがとうございました。
次回は『2019年度合格者の得点パターン』を6/17(月)に掲載する予定です。京都アートスクールの調査による京芸合格者の得点を元に、いくつかの得点パターンを代表する合格者の例を、作品と合わせて紹介する予定です。
次回もぜひ、お読み下さい。

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