京芸ファイル186:2019年度京芸入試速報 ◆ 京都アートスクール

FILE 186 ・2019年度京芸入試速報

立体

■問題概要

与えられた組立式箱と学習帳を材料に「解体と再構築」をテーマ
として、下記条件に基づいて立体表現しなさい。

  • ・条件(一部抜粋)
  • 1.解答作品には解答用材料として組立式箱1セット、学習帳1冊を使用しなさい。
  •   接着固定材料として木工用速乾接着剤、紙粘着テープのみを使用しなさい。
  • 2.支給された解答用材料は必ず使用すること、ただし材料はすべて使いきらなくてもよい。
  • 3.解答作品は解答用台の上に設置すること。
  • 4.解答作品は解答用台(35㎝×35㎝)をはみ出さず、また高さ35㎝からはみ出さないこと。
【支給されるもの】
 
解答用材料
:組立式箱1セット(本体、仕切り)、学習帳1冊
接着材料
:木工用速乾接着剤1個、紙粘着テープ1巻
解答用台
:茶色段ボール1枚(35cmX35cm)
移動用カバー
:茶色段ボール箱1個、カバー固定用テープ2枚
制作支援用品
:灰色ボール紙1枚40cmX55cm(作業用)、上質紙3枚(アイデアスケッチ用)

■解答用材料

■問題のポイント

今年度の出題においては、特殊な条件などはなく、オーソドックスな出題であったといえます。
しかし、支給材料がケント紙やスチレンボードといった単純な画材ではなく、「組立式箱」と「学習帳」という「用途のある商品」であったことから、近年とはやや傾向の異なる出題だったといえるでしょう。

アスクでも「用途のある商品」を立体材料として取り組む課題を通常授業・講習会・実技模試の中で行うことがあります。2015年度の直前講習期間中に行われた京都市立芸術大学実戦実技模試 立体課題「支給材料ノート5冊、エスレンコア1枚」を例に今回の出題について考えてみます。

   
2015年度直前 京都市立芸術大学実戦実技模試
立体課題文

このような材料が支給された場合、支給材料の「商品としての用途」に惑わされず、あくまでもそれらを材料として捉えることが必要となります。
「解体と再構築」というテーマから考えられる解答の方向性としては、大きく2つの可能性が考えられます。「作者自身が何かしらの基となる形を想定し、その形が解体され、別の形に再構築されていく一連の流れと変化を作品の中で表現する方向性」と「支給された材料(商品としての組立式箱と学習帳)の形を生かして制作する方向性」です。
今回の問題文を注意して見ていくと、与えられた組立式箱と学習帳を材料にという文言が問題文冒頭に明記してあります。このことから今回の出題場合、出題者の意図としては後者の「支給された材料(商品としての組立式箱と学習帳)の形を生かして制作する方向性」を期待していたのではないかと推測することができます。
作例としてあげている上の3作品は支給された材料(ノート)の形と特徴を生かした作品と言えます。

例えばノートの中身の特徴を生かした作品を制作することも考えられます。

 
アスク模試での支給材料(ノート)の中身の特徴を生かした作例

下の作例は支給された材料(ノート)の形が強く残りすぎてしまっている作品です。このような状態では支給材料を材料として異化することができていないため良い状況とは言えません。また、今回のテーマの一つである「解体」という部分も満たせていないことになります。

 
アスク模試での支給材料(ノート)の形が強く残りすぎている作例

今回の京芸ファイルでは支給材料の一つである学習帳に焦点を当てて解説しましたが、組立式箱に関しても同じ様に考え取り組むことが求められた課題であったと言えます。

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